IL MARE LIFE | A loner's monologue

長野市の小さなお店「IL MARE」(イル・マーレ) 「IL MARE」と言うフィルターを通じて見える捉え方を 50代当店スタッフが同世代へ向け 長年の知見と経験による皆様への様々な提案や考え方を共有・共感して頂くテーマブログです

IL MAREと言うフィルターを通じて見える捉え方を
50代当店スタッフが同世代へ向け
長年の知見と経験による皆様への様々な提案や考え方を共有・共感して頂くテーマブログです

時々ゲストをお招きし記させて頂きます

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「バランスがいい」

って何だろう?

仕事柄、お客様と会話をしていると「バランスが良い」という言葉が度々出て来ます。
そもそもバランスって何だろう?
バランスが良いって何だろう?

そんな思いに駆られる方も少なくないと思います。

バランスが良いと一口に言っても、何のバランスが良いのか?

そもそもバランスが良いとする定義って何だろう?

人が"バランスが整っている"と感じる時、多くの人の目には一種の「黄金比」として視覚的な枠にはまります。

その黄金比は大抵のものに一致するもので、縦横比だったり、色の重なり合いだったり、何かしらの形で視覚的に訴えて来るものです。

この黄金比、有名な所ではレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナリザ」にも適合すると言われていますが、そもそも黄金比と言うからにはロジックに従ったある種の計算比が算出されている訳ですが、遡れば、それらは古代建築や美術など多くの物に適合しています。

その黄金比とは1:1.168と言う近似値で算出されています。
解りやすくすると

5:8

の割合で物の造形を成しているものに感じられる比率です。

あのアップルのロゴマークもこの比率によって作られている為、ロゴに親近感を感じるのもこの比率の為かも知れません。

人は脳で計算する事無く「イヤでも気になってしまう」のが、この比率なんですね。

デザインを中心に行う仕事に於いて、これらの比率は多くに活かされています。
勿論、WEBデザインにも応用されており、皆さんが見るPC画面やスマートフォン画面の中にも、同様に見易さを感じるものが在るとしたら、この比率に同調しているかも知れません。

しかし、この黄金比は所謂造形物で起こり得るもの。

例えばスタイルの良い女性がいたとして、その女性のヌードの写真には美しさを感じるのに、衣類を身に着けた途端、それが別のものに見えてしまうとします。

この場合、身に着けた衣類が女性の身体に恵まれた黄金比を覆い、全く異なる黄金比に見えるとしましょう。
すると、どこか素直に美しさを感じる事が出来ないのは、服装の色であったり、形であったり、身に着ける物の比率が変わってしまう事で、人の目には数パーセント減算されて目に映る事になります。

要は「素敵」とか「綺麗」とか「カッコいい」と思える物には「バランス=比率」が重要だと言う事です。

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一枚の美味しいピッツァが在るとしましょう。
「見るからに美味しそう」と思えるピッツァには、きっと具材がバランスよく配置され、彩りも綺麗に映っているでしょう。

口に入れて美味しいかどうかは好みの問題。

しかし食事にも、人が無意識に黄金比を以て見ている事が分かります。

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一枚の写真を撮影したとします。
その写真が綺麗に見えるかどうか、美しい、素敵、と思う写真には、前述までの黄金比とは異なる比率が在るのですが、これはまた次回に振るとして、写真一枚の中にも色の数や、対象物の大きさの違いなど、様々なところに、人は"一瞬にして"目を向けています。

鼻や耳、舌と違い、より詳細に、より瞬間的に、物を判断する事が出来るのが「目」です。

かつて、一種の障害を抱えた男の子が「計算」だけを素早く、それも何桁もの数字を処理する能力に長けていました。

この男の子は、数字を「目」で見て「映像」に変え、それらを脳の奥にある答えに結び付ける事をしていました。
つまり計算をするのではなく、映像と答えを直結しているだけなのですが(勿論一般の人には困難)、目と脳の近い関係性を、より活かして使っていた事になります。

こうした障害のある子供たちにとって、目の記憶力は非常に高く、例えばヘリコプターで東京を周回し、その時の映像を寸分たがわず絵に描く事が出来る子もいました。

「目」つまり視覚的効果は、人にとって非常に大きな影響を持っており、まるでコンピューターの様に多くの物を解析する事が出来るもの。

こうして黄金比は古くから、意図的ではなく、無意識に人の脳に働きかけ、美しさを感じるセンサーとして働いていました。

しかし、中には「目」による能力に長けていない人、或いは他のチカラによって補ったり、他の器官に優れている人もいます。

現代人は一日が短く感じてしまうほど、常に多くの事、物に急かされ、目を有意義に使えていない事が一つの起因では無いかと私は考えるのですが、実はこれらを研ぎ澄ませる為の一つの方法が在ります。

それは

「常に素晴らしい物を見る事」

です。

魅力的、或いは有名、高名なアーキテクチャー(建築物)を見たり、美術品を見たり、日常生活の中には無いような様々な物を、視界に入れ、またそれらに触れる事によって、目は自ずと黄金比を認知し始めます。

洋服も同じです。

想像を超える様な高い品質に触れたり、日常では袖を通す事が限られてしまう様な物を試してみたり、常に高い基準を持ち続ける事によって、それらは自ずと「経験値」を育みます。

毎日を贅沢に過ごすと言うことではなく、可能な限り多くの物に(例え入手出来なくとも)触れたり、目にしたりすることは、目からの情報に加え、体感(触感)によって更に確固なものに変わって行きます。

私がこの業界に足を踏み入れ、彼是三十年弱になりますが、この間、常に多くの物(それらが数千万円規模の宝石だったり、数百万規模の洋服だったり)を見て、触れて、その目と手で確かめて来ました。

建築物や美術品も同じく足を運び、出来る限り多くの物を目に入れて来ました。
食事も可能な限り、機会にありつける様に過ごして来ています。

常に手元に置けなくても、多くの物を見て、触れて、確かめる事は、多くを判断する材料となり経験値となります。

世の中の造形物に於ける黄金比は変わる事が在りませんが、人の目に映る黄金比は養う事が出来ます。

やがて黄金比=バランスを見出す事が出来、そこには無意識な「バランス」が培われて行くのです。

「あの人は御洒落」とか「あの人はスタイルが良い」など、人が目を伝ってバランスを感じるもの、或いは人には、もしかしたら人知れず努力が在り、そこには先述の様なバランス感覚を養って来たものかも知れません。

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御洒落はバランス、そして色も形も、ある程度のセオリーの中に収まるものが、一番魅力的に映るものです。

御洒落はロジックではなく、感覚(センス)が活かされるものですが、感覚=目は養う事が出来ます。

人は目に映るものが全てと認識します。
ファーストインプレッションで好印象を残す人には、必ずバランスの良い服装、無駄の無い服装が纏われています。

美しい物ばかりを見続ければ人は美しさを更に貪欲に求めます。
その逆を見続けると、うんざりするようなネガティブが占拠するでしょう。

精神衛生にとっても美しいと感じる事は大切ですね。

身動きがし辛い環境の人、忙しい人、人には時間が確保できない人もいるでしょう。
そんな時は、造形物、建築物、美術品の写真を眺めたり、雑誌を眺めて見たり、毎日の中で出来る事から始めて見ても良いですね。


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今年の冬は雪が少なく、いつもより過ごし易い毎日に。

雪山では積雪不足からスキー場が悲鳴を上げ、廃業を余儀なくされる不穏な状況も顕れていますが、一方の街中では降雪が少ない事で御洒落が限定されず、例年に比べて多くの御洒落が楽しめる冬になりました。

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雪が降ると屋内に閉じこもり気味になってしまう分、とかく気分も塞ぎがちになります。
屋外に出なくなると、とかく見る物聞く物に情報を頼ってしまいますが、屋外へ出る事で視覚聴覚的感覚だけではなく、やはり触感を重んじる事も大切ですね。

人の身体は他の動物に比べて優れた感覚が沢山あります。
その一つに触感がある以上、人が生活するうえで欠かしてはならない感覚の一つかも知れませんね。

話は変わりますが、ふとした時目にするSNSのログ、店頭で耳にする「自分には似合わない」と言うフレーズ、この言葉に昔から疑問を持つ私。

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何故人は「私には似合わない」と言うのか。
そんな素朴な疑問は幾つかの答えが在ると思うのですが、そのうちの一つには

「着ているのではなく、着られているから」

と言う主観が在ります。

無条件に、顔から体格まで全てに優れている人にとっては何の違和感も無いでしょう。
しかし人は必ず、顔や身体のどこかにコンプレックスを持っているものです。

コンプレックスとは"完璧を目指す為"の指標で在って、決して悪い物では無いと考えているのが私です。

それは『100点満点の理想に向けて、今自分に足りていない物が何なのか?』を解っているからです。

そのコンプレックスを補おうと『努力する人』には、相応の魅力が備わって行きますが、コンプレックスではなく『諦めてしまう人』には、何も生まれません。

では、何故「私には似合わない」と思ってしまうのか。

それは、(1)自らが求めている姿(スタイル)ではない、(2)食わず嫌い、(3)妥協をしている、この何れかが作用して、頭から否定してしまう為ではないでしょうか。

(1)は致し方無いとして、(2)と(3)については、明確な理由があります。

(2)の食わず嫌いは、トライする勇気を持つだけ、(3)の妥協をしていると言うのは、実は細分化されています。

一つは髪型や化粧、身嗜みに目を向けているかどうかです。

男性も女性も、大抵の人々が”巷で人気のブランドを身に着けたい”、或いは"高級だから安心"等々、目から入力された情報だけで処理され、それらを身に着けた事で安心をしてしまい、最も大切な

「顔や髪、体形に気を配る」

ことを疎かにしてしまいます。

これは最早、ファッション後進国としか言いようがない根本的な「ブランド至上主義」への登り道です。

どんなに素敵な洋服やバッグを身に着けても、どんなに高級な品物を手にしても、それらを身に着ける

本人自身が行き届いていなければ、どんな素敵な物も全て台無しにしてしまいます。

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この気を配ると言うものの中で、私が最も感じるは

「髪型」

です。

女性であれば化粧やダイエットは、様々な理由で出来る人、出来ない人、やろうとする人、やろうとしない人、様々です。

しかし男性も女性も、髪型は多い少ないに関わらず、ほんの少し手を入れる、或いは顔や輪郭に合った髪型をリクエストする等、実際に活かしようが在る物だと思うのです。

この髪型一つで雰囲気が変わり、それまでの服装も見違えるようになるのは、髪型によって顔の小ささ、或いは身長の高低差を感じさせたり、様々な効果が期待出来るからなのです。

勿論、髪色も同様です。

そしてもう一つ、「とても気に入っているのだけれど、着て見ると似合わない」という場合、これは多くの場合「サイズが合っていない」或いは「配色」など、つまりは

組み合わせのバリエーションに乏しい


為、似合うと感じられない場合があると言うこと。

このバリエーションに乏しいと言うのは、品数を指すのではなく、組み合わせる為の

想像力

が乏しいと言うことを指しています。

この想像力、そしてコンプレックスを補う業こそが

センス

と表現されているものだと思うのです。

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人に察せられないよう見せる努力、それらしく見せる業は何度も試行錯誤を重ね、時間を掛けて培っていくものでもあり、また元々持ち合わせている人もいるかも知れません。

私の場合は紛れもなく前者であり、30代では当たり前だったことが、50代では出来なくなり、その結果、それらを補う為の「見せる(隠す)努力」をしています。

例えば、顔はコンパクトに面長に見せる為に髪の両サイドを短く刈り、輪郭をハッキリさせる為にゴーティーにしています。(顎鬚を生やしています)

歳と共に痩せて来た手足、突き出た腹部を隠す為、選ぶ洋服のサイズを常に変えています。
時にはウエストは出し、裾幅は詰め、身体の特徴で補えないものは洋服のリフォームを利用して誂え直すのです。

或いは、腕を長く、脚を長く見せたい時には、それぞれの丈を調節したり、それらから見える手足首、或いはシャツやニットなどの見える面積を多くする為、(インナーだけを)別のサイズで選んだりもします。

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誰もが願う様な顔や体つきで生まれて来る訳ではありません。

そして世の中で活躍されている多くのモデルさんやスタイリストさんたちが、長い下積みや経験を糧に培って築き上げて来た「知識」と「発見」をもとに魅せている訳です。

また同時に『自分だけに留めておきたい技や知識』は、そうそう簡単には人に見せないもの。

私にも、私だけで留めておきたい技や知識がありますが、少しずつ皆様へ、こうした技や知識を提供する様にしています。

結果、"似合う、似合わない"の論議を目にすると、私にとっては「諦め」としか映らなくなるのです。

私は、お客様とお店との出会いは、よりパーソナルな信頼関係が築かれ、初めて成されるものだと思いますが、"似合う、似合わない"の疑問は、意外なほど「自分自身」に答えが在ると言う事を皆さんに知って頂けたらと思っています。


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