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春夏秋冬。
日本には四季が在り、四季折々の楽しみがある数少ない国の一つ。

季節ごとに楽しむ御洒落も、少しずつ違う気温や天候に合わせて、自分だけの細かな拘りや満足を以て日々装うことが出来ます。

私が長年今の仕事を続けて来て、時々お客様から耳にする言葉が

『丈だけで全然違いますね』

と言う言葉。

誤解を恐れずに言うならば、大抵の方が自分に合うパンツやスカートの丈を知らずに購入し、その製品を褒めたりダメ出しをしたりする経験があると思います。

逆に、お店の店員さんから「あなたはこれ位で履いた方が良いですよ」などアドバイスをされても、直さずすぐに着られるなら、そのまま持ち帰りたいと思う心情や、ひょっとしたら、そんなアドバイスが無いケースもあろうかと思います。

私はお客様によって身長や体格(体形)、勿論手の長さや足の長さ、腰の位置、ひいては踝(くるぶし)の位置を見ながら、お客様に最適な丈の位置を提案します。

それはお客様が「自分はこの位置がイイ」と言う自分の中の決め事が無い限り、念のため提案させて頂く訳ですが、ただおもむろに最適な丈を提案する訳では無く、その人が履く靴の種類や日頃の装いを聞いたりしながら、体格体形と照らし合わせて、そのお客様が

最も美しく見える位置

を提案します。

ここで言う”最適”は、人それぞれ違う上、決め手となる踝の位置(高さ)や踝の形など、その人だけの美しく見える位置を探し、人によっては数ミリ単位で提案することもあります。

洋服を提供(販売)する仕事と言うのは、前提に商い(商売)がある訳ですが、私はそれと同時に、そのお客様が購入し身に着けた時

他人からどう感じられるか

が気になります。

つまり購入していただくお客様の向こう側にある、未知の人々から見られる事を意識します。

一種のツマラナイ見栄であったり、不要なプライドとも捉えられますが、人それぞれが違う体形で在る限り、人が美しく、或いは素敵に見える”全ての丈”はバランスのもとに成り立っているわけで、それを見極め提案することが、私が考える最適なアドバイスでも在るわけです。

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今日もお客様から

『ホント、丈だけで全然違うんですよね』


とお言葉を頂きました。
この些細なことが、私の満足であり、またお客様に開眼していただける事の喜びであり、商品在りきではなく、それを身に着ける

人在りき

で在る事を実感するのです。

この職業に身を置いて以降、長い間色々なお客様と対面させて頂き、色々な体格や身長、体形の方を拝見し、そこには私が考える黄金比になるはずのバランス位置が、それぞれの人達に在る事を改めて皆様にも知って頂きたいと思う様になり、またそれらに気付いて頂けた時のお客様からの声は、私の仕事冥利に尽きる物でも在ります。

身長、体形、体格、骨格、パーツの位置や大きさ、選ぶ洋服のシルエット(形)、全てが適うべきバランスになった時、洋服は素敵に魅せてくれる物になります。

洋服在りきの洋服屋ではなく、身に着ける人在りきの洋服屋であることは、きっとこれから先も変わる事が無いでしょう。

それが些細なことで在ればあるほど、魅力はもっと魅力に見えるはずですから。



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