当店(私)は長野に根を下ろしてまだ十数年ですが、事業そのものは、東京都内、神奈川(横浜)、埼玉(草加)、軽井沢、松本などでの事業前身を含めると、早25年目になろうとしています。

バブル世代と呼ばれる私達世代は、就職に有利な売り手優位の時代に育ち、世の中は好景気に沸き、様々な体験をさせて頂きました。
きっと同世代の方々の中にも、今では考えられない体験をされた方がいらっしゃると思います。

その後22歳で洋服業界に飛び込み、26歳の年に独立しました。
初めての仕事はイタリア製のジーンズブランドへの就職。
右も左もわからぬまま覚えた必至の接客は、その後の私を作り上げた土台になりました。

その後も脇目もふらず闇雲に駆けて来た25年間ですが、驚く事に周りの同級生の中には孫がいる者もいます。
私に限らず、仕事や育児に没頭していると、ハッと我に返った時、「何と時間の流れが速い事か」と気付かされる事が多いと思います。

長い間洋服に携わっていると、洋服に求めるモノ、価値観や存在意義が変わって行きます。
それはきっとお客様にとっても同じことで、同世代のお客様にとって、ファッションも旅行も食事も遊びも、様々な体験をして来たことと思います。

故に、洋服との付き合い方、向き合い方も変わり、意図せず自然に

買うべきモノを瞬時に判断する

審美眼、或いは感覚が身についています。
それは私達が詳細な説明する事も不要で、長年培って来た知見による、お客様自身の特別な感覚です。

実は当店が10年程前から提案し続けている、「クラシコイタリア」を源流にしたファクトリーブランドへの造詣や関心は、長野周辺の方々にとって、殆ど在りませんでした。

このクラシコイタリアと呼ばれる一つのキーワードは、数十年前に端を発した一つの潮流の中に在りました。
1997年に発刊された、落合正勝氏(故人)監修による

『クラシコイタリア礼讃』

と言う一冊のによって、その存在を広く知られる事となった訳ですが、それまでは今ほど興味を持たれる方も多くなく、ごく一部のマイノリティな存在として嗜好されていました。

私もそのうちの一人でした。

私が長野の地へ降り立った際、長野にはこのクラシコイタリアを提案していたお店が一軒だけ在りました。
残念ながら当時の長野には、クラシコイタリアとしての嗜好性が乏しく、多くを魅了するまでには至りませんでしたが、知る人ぞ知る名店として私の中にも強く刻まれています。

実はそのお店の在った場所が今のイルマーレの場所です。

この「クラシコイタリア」潮流の内容を一口にまとめると、日本人の中に余り認知されていなかったファクトリーブランドへの関心、またトップメゾンの洋服を誂えていたファクトリーや、世界で名品と呼ばれる老舗や手作りの一流品を、日本に紹介していたと言う物です。

それまでの良いモノと言えば、誰もが知るアルマーニやヴェルサーチ、シャネルにエルメスと言った一流銘柄。
しかしクラシコイタリアと言う潮流によって、モノへの関心が徐々に変わって行ったのです。

つまり

『良い名前によって良いモノが手に入れられるのではなく、良い審美眼によって良いモノが手に入れられる』

当店が古くから皆様に提唱し続けている当店のキーワードの原点です。

こうして、良いモノへの価値観や見出し方が変わり、私達世代にも

ホンの一握り

の方々によって支えられ始め、それらは若干の誤差を生みながらも、世の中に大きく広がりを見せ、今の特徴的なカテゴリーが生まれました。

今では若い20代の男性も興味を示すまでに広がり、このカテゴリーを牽引している30代や40代の人たちを中心に、一種独特な世界観へと変わりつつあります。

とは言え、私達も共に歳を取り、これら若者の世界観に留まるのでは無く、次の新たな世界へ進み始めています。

それこそが、コンフォートとクラシック、そして更なるベーシックを『質』で選ぶ事です。

過度に気取る事無く、あくまでも自然体で作られる

『嗜み』

に見え隠れする大人のゆとりや考え方、振る舞いを身に着け、新たなカテゴリーを生み出して行くのです。

25年が経とうとしている今、丁度私達と歩みを共にして下さっているお客様と共に、新たな進化を迎えようとしています。

何が正解で、何が不正解かを論ずるのでは無く、常に心地良いと感じられる、生活と共に寄り添う、洋服の在り方を私達は提案し続けます。


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洋服業界に身を置き25年。
これまでも沢山の著名人、業界人と時間を共にして来ました。

知見や造詣が皆様のライフスタイルの中に浸透し、益々発見の多い提案で、皆様を持成せるよう努めたいと願っています。


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