IL MARE LIFE | A loner's monologue

長野市の小さなお店「IL MARE」(イル・マーレ) 「IL MARE」と言うフィルターを通じて見える捉え方を 50代当店スタッフが同世代へ向け 長年の知見と経験による皆様への様々な提案や考え方を共有・共感して頂くテーマブログです

カテゴリ: BLU e ROSSO

以前も記させて頂きましたが、私のキャリアはもうすぐ25年を迎えます。
早いもので、以前20周年を機したイベントからあっという間に5年が経とうとしています。
当時、イベントに足を運んで下さった方の中に

「ん?少し早く無いか?」

そう思われた方もいらっしゃるかも知れません。

それもそのはず、お恥ずかしい話ですが、21年経過していた年に20周年イベントを行うと言う大失態を致しました。

まあ、それ程気にされている方も気に留めている方もいらっしゃらないと思いますので良しとして、この20周年を機に立ち上げた当店のプロダクトの一つが『Agnelli & Sons』(アニエッリ・アンド・サンズ)と称する、クラシックやベーシックを基軸としたトータルルックの自社ブランドです。

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それまでも別名による自社ブランドを保持しておりましたが、より高品質で、より本格的なモノ作りに舵を切ったブランドがAgnelli & Sonsです。

この名の由来は、余りお伝えする機会が無かった為、その実ご存じの方も少ないと思います。

私がウェルドレッサーとして敬愛する数名のうちの二人、ジャンニ・アニエッリ(故)とルカ・ディ・モンテゼーモロ。

私がクラシコイタリアと言う存在を知って以降、常にその時代のウェルドレッサーとして名を馳せていた、イタリア最大の自動車メーカー「フィアット」の元会長、ジャンニ・アニエッリ。

彼は幼少に父親を亡くし、その後父親の経営していたフィアットを直ぐには継がず、イタリア随一の財閥として帝王学を学ぶべく、世界中のリゾート地を飛び回り、社交界に於いても様々な見地を広げました。

成長した彼が継いだフィアットは、その後フェラーリやマセラッティ、ランチア、アルファロメオなどを傘下に収め、セリエAの常勝チーム、ユベントスも手に入れる等、様々な成功と功績を見せて来ました。

同じく、ルカ・ディ・モンテゼーモロは、イタリアの航空会社アリタリア航空の会長を努め、その後フェラーリの会長を歴任し、トッズやアクア・ディ・パルマなどとの関係も深く(投資なども行っていたと言います)、ファッショニスタとして良く知られる存在。

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共に実業界以外でも、時代を超えてその名を轟かせた人物。

更にアニエッリの孫にあたるラポ・エルカーンなど、ファミリーとして時代を代表するウェルドレッサーが集う、アニエッリを中心とした輪は、多くの人々の羨望と敬愛の的となり、世界中の紳士のお手本となるべき存在。

そんなアニエッリ・ファミリーへ長年の憧れを持ち、また彼等への強い敬愛の念を込め

本物を知る人々へ向けたメッセージ

として作られたのがAgnelli & Sonsです。

世界中の様々な物に触れ、社交界や実業界から一流を知り、更にそれらから作られるウェルドレッサーとしての嗜みは、妥協無くして求められるものでは在りません。

そんな思いに触れながら、これまでの製品を展開しています。

スーツやジャケットの仕立てにも、一般とは異なる職人の手を借り作り上げたり、或いは靴や雑貨に至っても、それらの本質を変える事無く作り続けています。

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このローファーもまた詳細なディテールについては割愛させて頂きますが、色、艶やかさ、履き心地など、全てに確信を以て提案しています。

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疲れ辛い作りはこの靴の最たる魅力ですが、何よりアウトソールに求めたフィドルバックの仕上がりや採用した木型のベース等、この靴一つに求めた物は沢山在ります。

過去のモデルの一部は既に完売しており、ご覧頂く事が出来ませんが、これまでも、そしてこれからも、変わらぬ姿勢のもと、求め続けるオーセンティックは、男性にも女性にも同様に求めて行きます。

そしてAgnelli & Sonsもまた、むやみに展開をしません。
提案の一つの形として存在するものがAgnelli & Sonsであり、皆さんのオーセンティックを身近に触れて頂く為の手段として、今後も密かに在ります。


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1-3-11 minamichitose nagano 380-0823
call 026-219-3750
mail info@ilmare-online.jp


いつも拙い記事にお付き合い下さってありがとうございます。
性懲りもなく今回も記させて頂きたいと思います。

今回から「BLU e ROSSO | 冷静と情熱の間」と題して、当店が向き合う「物作り」に於ける雑多を記させて頂こうと思います。
どうかお付き合い下されば幸いです。

さて

「歳を重ねモノ選びの仕方が変わって来た」

そう感じる方いらっしゃいますか?

歳を重ねるにつれて、オケージョンに応じた物選びではなく、長らく培って来た経験をもとに、その琴線に触れるモノが

自然にフォーカスされる

事が多いように思います。

それがどんなモノで在っても、気持ちの昂ぶりと共に選ぶ事が少なくない気がします。

バブル世代の私にとっては、もはや疑いようの無い事実ですが、飽食の世を過ごした世代にとって、こうした感覚は、良くも悪くも時代が生み出した特別な感じ方の一つです。

好景気に湧き返る世の中で、沢山の良いモノ(それが洋服だけではなく、車や絵画、宝飾に至るまで)に触れて来たことが、モノを見極める目を養い、欲しいと感じるモノの尺度が違った定規で計られていた気がします。

そんな時代を経て今に生きる私達にとって、モノ選びは特別な審美眼と言う一つのフィルターを通して見ているのかも知れません。

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こうした背景の中で、私達は特別を生み出すモノを作り、共感(シンクロ)頂ける数少ないお客様に向けて発信しているものが在ります。

それがPERSONAL ORDER(パーソナル・オーダー)であったり、特別な靴や革製品であったり、一つ一つのモノに込められた想いには全てヒストリーが在ります。

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当店がこれまで品揃えして来たブランドは数多ありますが、その中でも古くからクラシックを貫き、常にその姿勢を変えずにいるブランドが幾つか在ります。

その中の一つにEnzo Bonafeが在ります。
Enzo Bonafeについては説明不要だと思いますが、古くからイタリアでは歴代のローマ法王にも愛用され、その靴作りの全ては歴史と共に、その時代や潮流に流される事無く、一貫してモノ作りを貫いています。

九分仕立てと呼ばれる「人の手によって」大半を作り上げるBonafeの靴は、同様に作り上げる職人やブランドが世界には存在しており、今となってはそれ程珍しい事では在りませんが、むしろその逆に、工場生産によって高いコストパフォーマンスを生み出す靴が増える中で、変わらぬモノ作りへの姿勢を保つ事の難しさを考えると、現在世に在るこれらのシューズメーカーは「価格」と言う形で、それらにかかる負担(コスト)を補っています。

その点、Bonafeの靴作りや(日本での)価格設定は、良心的と言わざるを得ない状況を作っています。

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モノ作りが栄華を作り、急激に経済成長したかつての日本と同じく、他国に於いてもモノ作りに於ける真摯さ、熱意、姿勢は称えられるべき存在です。

当店がEnzo Bonafeを扱うにあたり、心がけている事が一つだけあります。

それは、Enzo Bonafeに作って欲しい形、ディテール、

アイディアが無い時はオーダーしない

と言う端的なもの。

数少ない存在で在りたいと思う気持ち、存在価値に値するアイディアが私達の中に乏しい時はオーダーをする事が在りません。

現在、イタリアのEnzo Bonafeのオフィシャルサイトに於いて、日本での代理店名十数店舗の中に、恐れ多くも当店も名を連ねさせて頂いています。

毎シーズン、沢山のラインナップをオーダーしている訳では在りませんし、時々お休みも頂きます。

但し、それらに恥じない靴を作りたい、否、Enzo Bonafeの靴に求める私達なりの特別が在り、もはや商業的に云々は考えていないと言っても過言では在りません。

ちなみにこの記事の中で使用したローファーには「ポルトフィーノ・スタイル」がテーマに在りました。
夏のリゾート地、海沿い、マリーナを、リネンのスーツや、仕立ての良いショーツ、トラウザーズで履く、と言うものがテーマです。

一つ一つの靴にもヒストリーを求めると、不思議にも情景を思い浮かべる事が出来るのも、私達のモノ作りの愉しみ方です。

当店にお越しの際には、こうしたヒストリーにも耳を傾けて頂けると嬉しく思います。

今回も長々のお目汚しにお付き合い下さり、ありがとうございました。

次回は我々のプロダクトの一つ「Agnelli & Sons」について語りたいと思います。


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